星川淳さんから


<★いよいよ、有事法制成立という有事ですね。
民主党と与党の協議は最初から“落としどころ”を探っていただけで、ぼくも去年から指摘している
有事認定の問題を含め、「なぜ」の根本がまったく手つかずのまま、「だって、ないと危ないでしょ、
困るでしょ」という小泉流雰囲気論で決まっていくシナリオです。

とりあえず「怖い」とされる相手に限って想定しても明らかです。

有事は実質的に米軍とCIAが認定するしかないでしょう。
すでに昨秋ぐらいから、アメリカは恣意的な核情報で好き勝手に日朝・南北関係を操りはじめています。
そのうえで、予防攻撃を国策に位置づけるブッシュ政権は、「核使用を含むすべての選択肢を排除しない」と
明言しています。 

つまり理屈上、この有事法制は成立した瞬間から、たぶん金正日体制が崩れるまで、
ずっとオンにならざるをえません。
アメリカがいつ攻撃するかわからなければ、北朝鮮による在日米軍基地(または日本国そのもの)への
反撃もいつあってもおかしくない。
予防/先制攻撃論の危うさは相互に歯止めがないことです。
こうして日本はネオコンと無理心中で「年中戦時」になります。
沖縄の言葉なら「藪世(ブッシュゆ)」とでも呼ぶのでしょうか。もし04年に再選されたら、
後世“暗黒の8年”と名づけられるかもしれません。

杞憂と笑うなかれ。 

9・11以降のアフガン攻撃とイラク侵攻で世界を呆れさせたブッシュ政権の詭弁・強弁・情報操作と、
戦争放棄・非軍備の憲法で世界第3の軍隊をもつこの国の没論理と“雰囲気首相”を合わせたら、
上のような運びに持ち込むのはお茶の子さいさいでしょう。

この「理と法の真空状態」こそが有事です。 

理と法に則してものごとを考え、話し合い、合意しようとすること自体を鼻で笑うネオコンの無理無法ウィルスが、
もう和製ネオコンたちに伝染し、イケイケどんどん組を舞い上がらせています。
こんな汚染環境の中で米軍協力法などつくってはいけない。
東アジアの平和は東アジアで守り創る覚悟を決めなければ――。

もう一つ、日本が軍隊をもつことにぼくが根本的に反対する理由は、もし仮に軍備を認める憲法をもっていたと
しても、殺人マシンを使うだけ民主度が熟していないことです。
戦後日本がアメリカ占領による民主化のサクセスストーリーという定説はウソで、むしろ60年近くかかって
まだ真の民主主義の戸口にも立てない失敗例でしょう。
民主社会が究極の暴力である武力を行使するとしたら(軍備や戦争を認めた国の仮定ですよ)、
徹底した透明性と民意の支持がなければなりません。
けれども、日本は軍隊ではないはずの自衛隊ですら秘密のベールを厚くかぶり、なんでもないのに
「国家安全保障上の理由」からあらゆる情報を伏せ、国民の個人情報は乱用してきました。
軍は“お上”に属するもので、国民の顔色をうかがう必要などないという軍尊民卑の根性が染みついているのが、
封建制の習いを抜けられない日本人です。 

だから、インド洋に出した自衛艦の行動も知らせなくていい、
アフガニスタンのテロ掃討作戦に使うはずの燃料を給油して、そのままイラク戦争参戦中の空母キティホークに
使われても「関知しない」で済むと思っているのです。
一事が万事、理も法もない。
究極の暴力装置を国民の税金でまかない、税金で動かすための最低限の原則が、最初から崩れているのです。
これで“正式に戦争できる”権利など認めたらどうなるか――たちまち戦前に逆戻りするのは間違いありません
(もうだいぶ戻りかけてますよね)。

こういう危惧を、好戦派は「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」と揶揄(やゆ)しますが、
懲りずに済んだ身分の空論でしょう。
究極暴力の実態を知りもしない、知ろうともしない。
それを知る鉄則は、弾圧される側、銃口を向けられる側、爆弾を落とされる側に立つ(想像力だけでも)ことです。 

日本社会は戦争をできるタマではありません。 

平和憲法はその意味でも正解だと思います。(ほかに戦争をできる民主度の社会があるか疑問ですが…… 
だからこそ戦争は違法化し、絶対不可欠な武力行使のみ国際合意 で認定しようとする国連憲章の方向性も正解だと
思います。)

自衛隊は(国際)災害救助隊に改組すべし。 万一の侵略も災害として対処すればいいし、
それ以上に危ない事態は命がけの予防外交術を身につけて防げばいい。
本気でその努力もせず、アメリカの尻馬に乗って戦争をしたがる公務員は、日本国憲法第99条(憲法遵守義務)
違反で退場させましょう。 

有事法制とはまったく違う未来の切り拓き方を考え、工夫し、実現していこうではありませんか。>

星川淳@屋久島発インターネットソース→http://www.melma.com/mag/06/m00067106/

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